「孤高のアーティスト野村博が長逝して、今年十三回忌を送った。生誕97年になる。
野村は名古屋に生まれ、戦後は記者生活の一方で地元文化の再興を図った一人でもある。1957年から横浜に移り住み、1960~70年代を中心に精力的に制作活動し、個展と多数の国際展に出展した。その多くの作品を残して逝った。
代表作の一つに『ゼノンの矢』シリーズがある。紀元前5世紀のギリシャの哲学者ゼノンの逆説「飛矢静止論」からの引用である。飛んでいる矢の動きを一瞬毎に捉えれば、いつの時点でも瞬間、静止していると論じている。
野村の作品は、点で綴った持続する時間の軌跡上に自身の「生」を置き、流れと共に変遷してゆく内的世界の一瞬間を捉え固定しようと駆使している。版の特性、複雑な技法と刷りを酷使して多様な表現の試行錯誤により成立した作品である。
どうぞ、野村博の世界をご高覧ください。 (c.y)」
「La fléche de Zenon - 4」 360x445mm Intaglio
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右から「209 1965 La flèche de Zeno - 28」/「陰 陽 - 2」/「歴史(三部作)昼」/「歴史(三部作)夜」/「La flèche de Zeno - 29」
サイズ:いずれも 690x490mm
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左:「way - 8」 260x360mm
「酔いどれ船 - 4」 255x355mm
「metrical space -1」 165x360mm
左:「catastrophe - 3」 600x355mm
右:「Free - 4」 590x355mm
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