No.472 土屋敦資展 - 銅版画・木版画 - 2022.11.12 ~ 26

 今年も降っている。
自分ではコントロールできない、目に見えないもののエネルギーを感じる。豪雨、渇水かと思わせて増水、ゲリラ雷雨、線状降水帯...
この夏も何度もこれらの言葉を耳にした。毎年のように雨は私たちを驚かせるようになった。ただ通り過ぎるのを待つしかない。生命を生み出し、悠久の昔から、ゆったりと静かに存在する雨の姿に胸を打ちぬかれることもある。
一方、言葉を失う厳しさを見せることもある。
振り返れば 2020 の個展では落ち葉の紙や木の肌の痕跡に 恵みの雨のエネルギーを込めた。2018 は人に牙をむいた異 常気象、説明さえも拒むエネルギーに着想を得、育む雨を 願って版を刷った。 私の心の中に、いつも二つの雨の象 ( かたち ) がある。 22 年前の 9 月 12 日東海豪雨の際に受けた、今も心に居座 り続ける不安感と、森の中を歩く足元の腐葉土に蓄えられ た恵みの雨がもたらす安心感。どちらも雨の姿。二つの雨 を表現すること、雨の象 ( かたち ) を落ち葉に映すこと、目 に見えない、説明できないもののエネルギーは心を激しく かき回すが、大切なものを蔑ろにしないようにしていきたい。         (2022.8 土屋)



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「森の記憶 kuzu 22-2」 50 x 42cm  木版(凹凸版)、落葉の紙に雁皮刷り、Ed.2



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中央左:「雨の記憶  22-2」 90 x 225cm  銅版・木版、落葉の紙に雁皮刷り、Ed.2
中央右:「雨の記憶 22-1」  90 x 225cm  銅版・木版、落葉の紙に雁皮刷り、Ed.2

左端:「森の記憶 kuzu 22-3」 50 x 42cm  木版(凹凸版)、落葉の紙に雁皮刷り、Ed.2

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左:「森の記憶 kuzu 22-2」 50 x 42cm  木版(凹凸版)、落葉の紙に雁皮刷り、Ed.2

右:「森の記憶 kuzu 22-3」 50 x 42cm  木版(凹凸版)、落葉の紙に雁皮刷り、Ed.2





左から:「森の記憶 shii 22-12」 12 x 24cm  銅版、落葉の紙に雁皮刷り、Ed.20

    「森の記憶 shii 22-7」   36.5 x 18.5cm  木版、落葉の紙に雁皮刷り、Ed.2
    「森の記憶 kiri 22-6」   36.5 x 18.5cm  木版、落葉の紙に雁皮刷り、Ed.2

     「森の記憶 karamatsu 22-11」 24 x 12cm  銅版、落葉の紙に雁皮刷り、Ed.20
     「森の記憶 karamatsu 22-10」 20 x 16.5cm  銅版、落葉の紙に雁皮刷り、Ed.20


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「森の記憶 noibara 20-11」 15 x 32.5cm  銅版、落葉の紙に雁皮刷り、Ed.2


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ようこそアートの森 ギャラリーA・C・Sへ 山に木を植える男の話があります。コンクリートの白い街に、月に1本づつ木を植えるように、 心のオアシスになるすばらしい作品の展覧会を開いていきたいと願っています。ぜひお運びください。