~リトグラフ、ドローイング & 油彩画~
「ゆめむし」
夏に母がいなくなって、現実を受け入れられないまま秋が来た。
風に揺れる細い草の先端に母を感じ、それを作品にした。
雪の中にひっそりと残る枯草も描いてみた。
何枚も描くうち、2本の長い草が寄り添う形と、
母の節くれだった手の合掌する形と重なった。
私は、自分の絵の中にやっと、母の存在を感じた。
春が来て、若草に止ま るてんとう虫を見つけ、そっと手に取った。
母は、てんとう虫が大好きだったから。
そして、その上をゆったりと舞う蝶を見て、
母が、私を見ていると思った。
荘子の胡蝶の夢の話がよぎった。
蝶になった母から、今の自分を見ることを考えてみた。
季節が幾度も変わり、いつの間にか、私は、
母の視座で自然を見つめるようになった。
(荻野)
荻野佐和子
- 1961 愛知県北設楽郡生まれ
- 1988 名古屋芸術大学美術学部洋画家卒業
- 1994~1995 名古屋市文化振興事業団主催・海外研修(イタリア)
- 1991~1997 名古屋芸術大学版画コース非常勤講師
{個展}
- ラブコレクションギャラリー(名古屋)1988,89,90,91,93,
- ギャラリー・サンセリテ(豊橋)1989,90,92,96,99,03,08,11
- ギャラリー・A・C・S(名古屋)1992,96,98,00,05,10,18
- なびす画廊(東京)1994
- プロムナード・ギャラリー(名古屋)1995
- アカデミー・オブ・ファインアーツ(インド・カルカッタ)1997
- ギャラリー・掌(名古屋)1997
- ギャラリー・HIRAWATA(藤沢)2004
- ギャラリー・アート・ロベ (東京)2009
- スカイワードあさひ(尾張旭市) 20012
{グループ展}
- 1988 春陽展春陽会賞受賞(東京都美術館)
- 1999 文化庁現代美術選抜展(神奈川・岡山・沖縄・豊橋)
- 1990 国際版画展(ピアツエンツア・イタリア)
- 1994 存在する絵画(名古屋市民ギャラリー)
- 1999 景をめぐる五感のかたち(名古屋市民ギャラー)
- 2001 版画再考(文房堂ギャラリー・東京)
- 2003 ファソン ジャポン03-04展(la galerie / フランス)
- 2004,6,11,12, CWAJ現代版画展(アメリカンクラブ・東京)
- 2006 版画の展望 (桜ヶ丘ミュージアム/豊川)
- 2008 International Workshop in Remisen(ブランデ /デンマーク)
- 2010 International Workshop of Visual Arts in Mariano(マリアノボ/ポーランド)
- 2012 とよかわの美術家たち(桜ヶ丘ミュージアム/豊川)
- 2016 Lighter but Heavier展(gallery branka/名古屋)
- 2017 Light on paper (身内文化センター/名古屋)
- 2018 Lighter but Heavier展(KOBE STUDIO Y3/神戸)
「ゆめむし 17-D-4 」 12x18cm ドローイング 2018
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