No.402 山本近子展 2017.10.07/土~10.21/土

~銅版画~


 自然の多い所に勤める私は、季節を堪能しようと昼食後に散歩に出かけ目に入る物のそれぞれの存在と時間、空間に想いを巡らす。

 夏、欅の大木の下に玉虫の翅が彼方此方に落ちている。見上げると高い黄の上を飛翔している。翅は鳥に遣られたか、力尽きたか、地面に落ちて蟻によって分解された残骸である。これも自然の摂理、生と死を考える。

 玉虫と言えば、法隆寺宝物国宝『玉虫厨子』が有名である。装飾透かし金具の下に9000枚程の翅が伏せてあったらしい。金縁、金紫色の金属のような光沢が美しく見えたであろう。そして想いを巡らすと、4500匹程の翅を毟った現実をどう解釈するか。仏教には殺生は重い罪との教えがあり、須弥座部には『捨身飼虎図』が描かれてある。これこそ『玉虫色』か。見方や解釈によってどうともとれ、はっきりしないものの表現に使われる用語が『玉虫色』である。政治家や官僚の答弁、法案も玉虫色で、私を苛立たせているのだが、実のところ、私の作品も『玉虫色』である。

山本近子



「青と漠と玄-45」 (blue・blue・black)  150×85mm 銅版画


「青と漠と玄-32」(blue・blue・black)  365×450mm 銅版画

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Gallery A・C・S

ようこそアートの森 ギャラリーA・C・Sへ 山に木を植える男の話があります。コンクリートの白い街に、月に1本づつ木を植えるように、 心のオアシスになるすばらしい作品の展覧会を開いていきたいと願っています。ぜひお運びください。